和菓子NY輸出ピンチ/北新地「客足止まった」
米国発の金融危機が、地域の企業経営や家計のやりくりにも深刻な影響を及ぼし始めている。世界の株式・為替市場は依然不安定で、日経平均株価が22日午後の取引開始直後に9000円を割り込んで推移するなど、株安・円高の傾向が続いている。地域経済の先行きは不透明感を増している。
円高差損
「菓子どころ」松江市の和菓子製造業者6社が6月にスタートさせたニューヨークへの輸出事業を、円高が直撃している。4年がかりの事業だけに、関係者は「円高傾向が続けば、計画が頓挫してしまうかもしれない」と気をもんでいる。
国内需要が伸び悩み、業界と松江商工会議所は活路を海外に求めた。苦労の末、ニューヨークの日系スーパーでの販売にこぎ着けた。
現地で売る生菓子は1個3・5ドル前後。直近の為替相場1ドル=100円前後だと日本の業者が得られるのは350円前後で、松江商議所の渡利隆司・指導2課長は「今年初め(1ドル=110円を想定)より円高で1割も値段が下がった計算で、単価が安い分、大打撃だ」という。来年から本格展開しようという矢先、強い逆風にさらされている。
全国の釣り針の約9割を生産する兵庫県。最大の輸出先である米国向けは、毎年秋に輸出数量や価格を決め、北米の釣りシーズンに合わせて翌年2~7月に輸出する。メーカーの土肥富(どひとみ)(兵庫県加東市)社長で、県釣針協同組合理事長の土肥芳郎さん(71)は「来年は金額で例年の2割減を覚悟している」と話す。
神戸税関によると、兵庫を中心に日本から米国への輸出額は、2007年に9億1800万円だった。
中小企業、貸し渋りも
町工場
約6500の町工場が集まる大阪府東大阪市の自動車部品会社社長(64)は、政府の中小企業対策について「融資面から手を打とうとしているが、いざ申し込んでも、はねつけられる可能性はある」と疑問視する。
大阪府内の大手銀行の支店長は「支店の審査を通っても、本店が融資を許さない事例もある」と明かす。
外食
「もう居酒屋も高くて入る気になれない。最近は週1、2回、ここで1本飲んでから家に帰る」。大阪市西区のコンビニエンスストア前にあるテーブル席で、2人連れで缶ビール類とつまみを楽しんでいた30歳代の会社員は苦笑いした。
このコンビニでは、夕方から缶ビールや発泡酒を飲むサラリーマンが目立つようになった。9月のビール類の売上高は、前年同月の2倍近くにのぼった。
大阪の北新地で40年間続く老舗クラブ「クラブ山名」。ママの山名和枝さん(72)は、バブル崩壊も目の当たりにしたが、今回は開店以来初めて危機感を覚えた。「こんな経験は初めて。急にお客さんの動きが止まった感じ」という。
「神戸コロッケ」などの総菜店を展開するロック・フィールド(神戸市)は、9月下旬の約1週間、全国の約340店で一部の商品を1~2割引き下げた。終日買い物客の長い列ができたが、9月全体の新設店を除く売上高は前年同月比1・2%減に落ち込んだ。
今年に入って自宅で料理する人が増えている。大阪地区の百貨店全体でも、9月の総菜類の売り上げは2・6%減と、3か月連続の前年割れに。近畿百貨店協会の桜井恭二事務局長は「消費者の財布のひもがさらに固くなり、総菜すら買い控えている」とみる。
出典:読売新聞